元々赤色だったであろうトリシティ125が入荷。
しかし、経年劣化によって赤の発色が落ち、全体的にオレンジのような色合いになっていました。
最初は「色あせてるなぁ」と思ったのですが、見れば見るほどこのオレンジが悪くない。
むしろ、これはこれでアリじゃないかと感じたため、あえてこの色味に寄せて塗装を行うことにしました。
カウル取り外しと足付け
外装に包まれたトリシティは、カウルの部品点数がとにかく多い。
「これ全部バラすのか…」と思わず手が止まりかけましたが、気合を入れ直して作業開始。
一つずつ丁寧に取り外し、各パーツに足付けと傷消し(下地処理)を行っていきます。
表面の傷や劣化箇所をならしながら、プラサフ(プライマーサフェーサー)を全体に吹き付け、
塗装の土台をしっかり整えました。

トリシティ。

思わぬ味のある色に。。


塗装面の劣化が目立つ状態でした。
各パーツを取り外し。
見た目通り、トリシティはとにかく外装の部品点数が多い。
複雑な構造で、作業前から気持ちが折れそうになります。
それでもひとつずつ向き合って、慎重に取り外し作業を進めました。
手元には配線やカプラー、ネジの山。気づけば手も工具もドロドロに……。

当時の発色を保った綺麗な赤が見えます。



プラサフ塗装とカラーの調色
下地処理が終わったら、まずはプラサフ(プライマーサフェーサー)を吹き付けます。
これはただの“グレーの塗料”ではなく、塗装の土台としてとても大切な工程です。
プラサフには、下地の色ムラを整える役割や、塗料の密着性を高める効果があります。
これをしっかり施工しておくことで仕上がりの色が綺麗に乗り、塗装の耐久性も上がります。
また、細かなキズや段差を見つけやすくする目的もあります。
吹いたあとに表面の状態を再確認し、
必要があればさらに研磨して、塗装前の準備を万全に整えます。
さらに、シンナーの量を調整することで、プラサフを“簡易パテ”のように使うことも可能です。
少し深めの傷に対しては、
プラサフを垂らすように厚めに吹き付けることで、傷そのものを埋めるような使い方もできます。
私の場合、スプレーではなく筆にプラサフをつけて、あえて垂らすように塗ることもあります。
これはピンポイントで傷を埋めたいときや、
吹き付けではコントロールしづらい箇所に便利な方法です。


今回のカラー|トニコオレンジメタリック
今回選んだカラーは、ダイハツ車(アトレーやハイゼットなど)に採用されている
「トニコオレンジメタリック(カラーコード:R71)」
赤みの強いオレンジに、きらっと光るメタリック粒子が加わった発色の良い人気色です。
トリシティ本体の元色が退色して、
偶然オレンジに見えていたことをきっかけに、あえて“それっぽい”色味を選んで塗装しようと思い、
このカラーに決定しました。
実際に塗ってみると、派手すぎず、それでいて他と被らない存在感が出て、
三輪の個性的なフォルムにもぴったりハマる印象です。


うん。最高です。


組み立て&写真撮影
ボディ全体の洗浄を行い、塗装したカウルを組付け。
細かいホコリや塗装時のミストを取り除いてから、外装の組み付け作業に入ります。
トリシティはパーツ点数が多く
組み付けにも時間がかかりますが、一つひとつ丁寧に取り付けていきました。
ここで失敗したらやる気ダウンなので慎重に。
取り付け後は仕上げとして、表面のブツ(塵や微細なゴミ)を取り除き
磨き作業を行って販売へ。






さいごに
色あせた赤からヒントを得て、あえてオレンジへ塗り替えた今回のトリシティ。
個性的なカラーリングが三輪のデザインとマッチして、かなり印象的な一台に仕上がりました。
細かい作業は多くて大変でしたが、そのぶん達成感も大きく、
写真映えする車両になったと思います。
「オレンジってこんなにカッコいいんだ。」と思っていただけたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。