もともとシルバーだったリトルカブを仕入れた際、
「このまま売るのはもったいない」と思い、全塗装を決意。
キャンディーブラウンの深みと黒の組み合わせで、シンプルだった一台がぐっと引き締まりました。
このカブは2年ほど前に撮影・販売した車両で、細かな作業内容までは曖昧な部分もありますが、
当時の仕上がりの雰囲気が少しでも伝わればうれしいです。
塗装の工程とこだわりポイント
リトルカブは、カウルや外装パーツがほとんどなく、
ほぼ“フレームむき出し”の車体構成です。
そのため、全塗装を行うには少し手間がかかります。
今回はフレームまでしっかり塗装するため、
エンジン・タイヤ・ハンドル・配線類など、すべてのパーツを一度取り外し、
フレーム単体の状態にしてから塗装をスタートしました。
足付けとサフェーサーの吹き付け
今回のリトルカブは、もともと色剥げや大きなサビも少なく、
ベースとしては比較的コンディションの良い状態でした。
そのため、「足付け(下地処理)」から始め、
次にサフェーサー(下地塗料)をを全体に均一に吹き付けました。
乾燥・研磨の工程を経て、キャンディー塗装の下地となるガンメタ(シルバー寄り)を塗装していきます。

フレームだけの状態に。

キャンディーカラーを塗装
ガンメタの下地塗装が完了したあとは、
キャンディーカラーの原料をクリア塗料に混ぜて、フレームに丁寧に吹き付けていきます。
このタイプの塗装は、重ね塗りの回数によって色の深みが変化するのが特徴です。
理想の色味になるまで、少しずつ調整しながら塗り重ねて仕上げていきました。



キャンディーカラーでないと、この透明感と奥行きは出せません。
光の当たり方によって微妙に表情が変わる、特別な色味です。

乾燥させて組み立て&ブツ取り
塗装後は、しっかりと乾燥させる時間を取りました。
キャンディーカラーは塗膜が厚くなりやすく、急いで触ると跡が残ったりヨレるリスクがあるため、
ここは焦らずじっくり乾燥時間を確保しています。
完全に乾いたことを確認したら、フレームにエンジン・足回り・配線・外装を順番に組み付けていきます。
細かい部分まで塗装しているぶん、組み立て時に傷をつけないよう慎重に作業しました。
とはいえ、各部品を取り付けた際や、ネジを締め込んだ際に多少は剥がれてしまいます。
最後に全体のバランスと塗装面をチェックして、
リトルカブの“再誕”完了です。

このネジどこだっけ・・?
日常茶飯事です。


最終チェック。

楽しくて夜になってしまいましたが、ほぼ完成しました(笑)
リトルカブ。完成です。

塗装後、すぐに購入していただいたため、完成後の写真はあまり残っていませんが、
「この色がかわいい。気に入った」と、当時高校生だった男性が購入してくれました。
そう言ってもらえたことが、なにより嬉しかったです。
ちなみに私は、フレームの塗装が少し苦手です。
固定するのに手間がかかるうえ、スプレーがうまく当たりにくい箇所もあり、
仕上がりにムラが出ないようにするには、かなり神経を使います。
また、通常の塗装より工程が増えるため、料金もやや高めになります(笑)
それでも、可能な限りご希望にお応えできるよう努めていますので、
「こういう雰囲気にしてみたい」など、気になる方はぜひお気軽にご相談ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。